クリスチャン(キリスト教徒)の人口は、世界では約23億人です。これは世界人口の約33%にあたります。キリスト教は世界で最大の信者を擁する宗教です。日本では約190万人(2022年版の「信仰の自由に関する国際報告書」による)で、これは人口の2%弱になります。
日本のクリスチャン

キリスト教は、安土桃山時代の1549年にフランシスコ・ザビエルによって日本へ伝えられました。その50年後には鎖国と禁教令が発布され、250年後に再び布教が始まりました。
文化庁が発行する「宗教年鑑」によるとキリスト教系に分類される宗教団体の総信者数は192万1484人です。
ところが、このキリスト教系と分類される宗教団体には、キリスト教の世界から異端とされている、代表的な3組織が含まれています。
- 末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教):推定20万人
- ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人):推定20万人
- 世界平和統一家庭連合(統一協会):推定50万人
これら3つを引き算すると、実質的なキリスト教徒はおおよそ100万人ということになります(なので、日本の国内人口の1%未満:タイトルに書いた通りなのです)。
今回は、この100万人に含まれなかった自称キリスト教(キリスト教の異端である)、上記3宗教を取り上げます。
異端:末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教):推定20万人
イエス・キリストの原始教会の復元を主張していますが、問題は、三位一体を否定している点です(三位一体とは、父と子と聖霊の神が一体であること)。キリスト教系の新宗教に分類され、一般的には「正教会」「カトリック」「プロテスタント教会諸教派」という主流のキリスト教から「異端」とされています。
ジョセフ・スミス・ジュニアが受けた神の啓示によって創設されました。聖書の他に『モルモン書』という聖典があり、これも聖書の内容を曲げるものとして異端視される原因になっています。
アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティに本部があります。アメリカではキリスト教の教派としては4番目に大きい組織になっています。
2018年にモルモン教という呼び名をやめています。
日本の文化庁が発行している「宗教年鑑」のなかではキリスト教の1つとされています。
異端:ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人):推定20万人
1870年代にアメリカ合衆国でチャールズ・テイズ・ラッセルを中心に始まった国際聖書研究運動によって設立された新宗教の団体です。本部はアメリカ・ニューヨーク州ウォーウィックにあり、全世界で「ものみの塔聖書冊子協会」という法人名で活動しています。
「新世界訳聖書」を使用していますが、内容は私たちの使っている聖書と大きくかけ離れています。たとえば、キリストを「神性を備えた神の子」としていますが、全能の神そのものではなく、大天使ミカエルと同格としています。
そのため、カトリックやプロテスタントは「ものみの塔(エホバの証人)」をキリスト教と認めていません。
国内の会員数は、カトリックに次いで2番目に多く、続いて日本基督教団(プロテスタント)・前出の「末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)」となっています。
組織内には、上下関係の厳しさと「とり決め(戒律)」の多さがあるようです。戒律の中には、家庭訪問伝道や輸血の拒否・選挙の対応・格闘技・クリスマス・誕生祝い・法事の拒否など多種にわたります。
異端:世界平和統一家庭連合(統一教会):推定50万人
世界平和統一家庭連合(通称:旧統一教会、旧称:世界基督教統一神霊協会)は、文鮮明によって1954年5月1日に韓国で創設された新興宗教です。
1961年5月の軍事クーデターで発足した朴正煕政権以降から「反共思想」を掲げることで韓国政府と親密な関係を築き、大韓民国中央情報部(KCIA)金鍾泌長官の指示で「韓国政府機関」として再組織されました。各種親韓反共団体を作り、軍需産業などビジネスにも進出し、アメリカや日本で韓国ロビー(コリアゲートなど)や各種の政治工作を行いました。
日本では1963年に笹川良一が顧問になったことで組織化が進み、1964年7月15日に宗教法人の認可を受けています。統一教会が日本を狙ったのは経済的動機が大きく、統一教会に集まる資金の流入元の約5割から7割は日本からとされています。冷戦終結後の1991年以降からは敵対していた北朝鮮に接近し、友好関係へ転じました。
韓国のキリスト教からは、統一教会は信者に血分けを強要する性欲主義の団体であり、キリスト教とは無縁な邪教だとの見解を表明しています。
日本の文化庁が発行している「宗教年鑑」のなかではキリスト教の1つとされています。が、世界的には、カルト宗教であるとみなされています。
キリスト教の異端は残酷です、気を付けて
キリスト教のひとつと油断していると、新興宗教に加担することになります。気をつけてください。社会問題になりましたね。
- 勧誘されて献金を承諾するまで帰宅できず、その後も借金をして数百万円以上献金した
- 血を食べてはならないという聖書の記述を根拠に医療現場で輸血を拒否することが、さまざまな国で社会問題になった
- 霊感商法や高額献金による深刻な被害が社会問題となった
旧統一教会の霊感商法や高額献金の強要といった問題は、昨年、安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに改めて顕在化しましたね。
異端とされる例としては、三位一体を否定し、キリストは神ではないと主張したり、自分がよみがえったキリストだと主張するなどがあります。
ここで思い出すのは隠れキリシタン再発見の話です。
隠れキリシタン再発見
150年前に隠れキリシタンが発見されたときに、キリシタンたちがプティジャン神父と同じ信仰だと確信した2点の確認事項がありました。それは、
- 聖母像があること
- 神父が独身であること
だったのですが、この2点を確認するようにと250年間受け継がれてきたのですね(江戸幕府が1612年と1614年にキリスト教を禁止する禁教令を出してから250年後の1865年に、長崎の大浦天主堂へ浦上在住の信者が訪ねてきたときの話です)。
うそだと気づける方法も聖書には書いてあった
現代の私たちも「これはうそだ」「この宗教はうそだ」と気づけるといいですね。
イエスはお答えになった。「人に惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『わたしがメシアだ』と言って、多くの人を惑わすだろう。 マタイ24:4
これは、イエス様がオリーブ山で座っておられるときに、弟子たちがやって来て、イエス様に「おっしゃってください。そのこと(エルサレムの神殿が崩壊すること)はいつ起こるのですか。また、あなたが来られて世の終わるときには、どんな兆候があるのですか。」と質問したときの返事でいわれたことです。
日本のクリスチャンは人口1%、異端とされている宗教に惑わされないで
イエス様は、わざと勘違いされたのか、それとも世の終わりがどのようにやってくるかをのちの世に伝えるためにこのように伝えられたのかもしれません。
世の終わりについては、続きにこのような記述もあります。
そのとき、『見よ、ここにメシアがいる』『いや、ここだ』と言う者がいても、信じてはならない。 偽メシアや偽預言者が現れて、大きなしるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちをも惑わそうとするからである。あなたがたには前もって言っておく。 だから、人が『見よ、メシアは荒れ野にいる』と言っても、行ってはならない。また、『見よ、奥の部屋にいる』と言っても、信じてはならない。マタイ24:23-26
「わたしがメシア(キリスト)だ」というものに従ってはいけないようですね。
あとがき
今回、私がよく知っているカトリック組織で「キリスト教」について調べるときに役立ちそうな「カトリック中央協議会」のホームページを調べてみましたが、キリスト教の異端については記載がありませんでした。
それは、たぶん「他人を非難しない」基本姿勢のようなものがあって、自分たちのことだけをホームページで紹介しているのかもしれません。
宗教に詳しくない方がホームページの出来栄えを見比べたら、ひょっとしたら異端とされるところの門をたたいてしまうかもしれないので、この記事をかきました。ちょっとしつこかったかもしれませんがご容赦ください。