私はクリスチャンのはしくれですが、職場で遺骨ダイヤモンドを取り扱うことになったときは大丈夫だろうか?と心配になりました。変な宗教ではないだろうか?初詣に明治神宮にいくような会社だったのでそんな心配がありました。とりあえず、遺骨ダイヤモンドって何?から説明を聞いたのでした。

遺骨ダイヤモンドも本物のダイヤモンドだった

ブラックダイヤモンド
ブラックダイヤモンド

宝石の鑑定士やジュエリー販売店、宝石の専門家によると「ダイヤモンド」と名前を付けてもいいのはダイヤモンドだけ、と決まっていました。遺骨ダイヤモンドってなんだろうと、色々調べているうちにわかった、まぎれもない事実でした。

遺骨ダイヤモンドの値段

まず驚いたのは、遺骨ダイヤモンドの値段でした。0.1ct(1カラットは重さで0.2gのこと)で30万円弱。2ctになると300万円くらいします。こんなに高いのか、私の身内には無理だなと思っていたら、お墓をたてるとやはり300万円くらいするそうです。

0.1ctのダイヤモンドのほうが断然安いです。

合成ダイヤモンドも本物

ところで、遺骨ダイヤモンドは合成ダイヤモンドです。合成でもダイヤモンドはダイヤモンドです。

宝石は基本的に天然石です。天然石と同じ成分で人工的につくり出した石を合成石と呼びます。遺骨ダイヤモンドはこの合成石に分類されます。

ちなみに、天然には存在しない石を人工的につくり出すと人造石と呼ばれます。例:ジルコニア

天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドどちらがいい?

遺骨ダイヤモンドは天然ダイヤモンドの3倍近い値段がします。遺骨ダイヤモンドをつくるまでに手間がかかっているからです。それに、天然ダイヤモンドが必要以上に安くなっているからというのも理由の一つです(※紛争ダイヤモンド問題)。

天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンド、どちらがいいですか?と質問されると、ほとんどの人が天然ダイヤモンドがいい、といわれると思います。それは、天然のブリと養殖のブリどちらがいいですか?と聞かれたときと同じ考えに基づいているのかもしれません。

遺骨ダイヤモンドは天然では採れませんので、どうしても合成ダイヤモンドになってしまいます。

初期の合成ダイヤモンドは宝飾用に向かず、金属加工などに使う切削ダイヤモンドなどにつかわれていました。黄色味がかっていて、くすみがあったからです。

いまは、ダイヤモンドに含まれる不純物を極力減らすことで、透明でくすみのない大きなダイヤモンドがつくられています。鑑定士も「あまりにも透明度が高いので合成ダイヤモンドではないかと思う」と発言するくらいです(くすみの原因は、結晶内の小さな空洞や亀裂です)。

この高度な技術を使って遺骨ダイヤモンドはつくられています。

遺骨ダイヤモンドのつくられ方

天然のダイヤモンドは地下150km付近の高圧とマグマの高温で永い時間をかけてできあがった炭素の結晶です。どのくらいかというと温度は数千℃、時間は1万年以上です。

天然ダイヤモンドがつくられる方法をまねて合成ダイヤモンドがつくられ始めたのは1950年前後です。1970年代になるとソ連とアメリカ合衆国の冷戦が一段落し、ソ連の研究者たちの多くがダイヤモンド合成にかかわるようになります。

合成ダイヤモンドの製造方法は、高温高圧法(HPHT法)です。高圧を発生させるダイヤモンドアンビルという装置の中に電熱線を仕組んで高温にします。

遺骨ダイヤモンドも同じようにつくられるのですが、まず、

遺骨ダイヤモンドの作り方
  • 遺骨から炭素成分を抜き出して
  • それを黒鉛化
  • カプセル状にしてダイヤモンドアンビルに入れます
  • ダイヤモンドができあがったら研磨してジュエリーに組付けます

天然ダイヤモンドは何万年のような時間がかかりますが、合成ダイヤモンドの場合は1週間程度で出来上がります。遺骨ダイヤモンドの場合は、炭素成分を遺骨から抽出する時間も必要になるので、全工程で3か月以上かかるようです。

遺骨ダイヤモンド流通の仕組み

遺骨ダイヤモンドは海外でつくられています。日本国内には遺骨ダイヤモンドの窓口があります。窓口のひとつが私の勤めていた医療機器メーカーでした。当時調べた限りでは他社ブランドの遺骨ダイヤモンドは5社ほどありました。

遺骨ダイヤモンドの国内窓口
  1. アルゴダンザ:国内シェアNO.1。
  2. ロニテ:魅力的なホームページですが日本語の間違いが多い。
  3. エバーディア:後発ですが、価格が魅力。
  4. トモニ:仏具店でよく見かけます。
  5. ハートインダイヤモンド:露出がほとんどなくクチコミ中心。

遺骨ダイヤモンドをお願いすると、

窓口とのやりとり
  1. 海外にある遺骨ダイヤモンドのラボ(工場)に連絡がいきます
  2. 窓口がお客様からお預かりした遺骨をラボに送ります
  3. ラボから定期的にダイヤモンド生成状況のお知らせがあります
  4. ダイヤモンドができあがれば、窓口に送られてきます
  5. 窓口からジュエリー専門店に依頼してジュエリーを取り付けます

ジュエリーというのは宝石が取り付けてある金属部分のことです(ペンダントやリングなど)。この工程が終わると、ダイヤモンドになってご自宅へ帰ってきます。

遺骨ダイヤモンドの問題点と国内事情

遺骨ダイヤモンドのラボが外国にしかない理由は、日本の法律「墓地埋葬法(第4条:埋葬又は焼骨の埋蔵は墓地以外の区域にこれを行つてはならない)」「死体損壊罪(刑法190条:死体、遺骨、遺髪または棺に納めてある物を損壊する罪で3年以下の懲役に処せられる)」があるためです。

遺骨の保管を行う施設が隣近所にあると気味が悪いという人もいらっしゃいます。

日本国内には「(遺骨ではなく)遺品から」つくるラボはありますが、「遺骨から」つくるラボはまだありません。

遺骨ダイヤモンド、だまされる?

「遺骨に炭素は含まれていないから、ダイヤモンドができるはずない」というご意見を多く聞きました。

遺骨にも炭素がわずかながら残っていて(1%)、遺骨の重量が5kgくらいなら50gの炭素があります。遺骨から炭素を抽出するのは、じっくり時間をかければ可能です。

ちなみに50gの炭素がすべてダイヤモンドになったとしたら、250ctになります。遺骨ダイヤモンドは大きくても2ctくらいなので、0.4gほど炭素が取り出せれば計算上は遺骨ダイヤモンドをつくることができます。

他にも、このような疑問や不安があるようです。

遺骨ダイヤモンドの疑問や不安
  • 天然ダイヤモンドを遺骨ダイヤモンドといって売っているのではないか?
  • ダイヤモンドに使う炭素を別のところから入手しているのではないか?
  • 他人の遺骨と取り違えていることはないか?

遺骨ダイヤモンドのラボは、トラッキングという方法(素材になる遺骨ごとに番号をつけて管理する方法)で、保管場所を変えたり、性状に変化を加えるたびにチェックと記録がされています。それをもって、ラボからダイヤモンドが出発するときに「○○さんのダイヤモンドです」と証明できるようになっています。

それでも、「行ったことも見たこともないラボがいうことは信頼できない、だから不安」という声もたくさんあります。

そんなこともあるので、お客様担当が登場します。

遺骨ダイヤモンドのお客様担当(クリスチャン)

お客様担当をやっていました。クリスチャンだからといって信頼が最初からあるわけではないです。たまたま私はクリスチャンでしたが、お客様の不安を取り除くには、いつでも

どれだけすぐにお客様のご要望にこたえられるか?

しかありません。そうはいっても、私の行動が人一倍早かったわけでもないです。皆さん不安に思われる点は、こんな方法で解決しました。

信頼できる窓口かどうか、資料請求してみるとわかります

窓口のなかには、すぐに資料を送ってくれなかったり、連絡してみると資料の代わりに営業電話やメールが来るようになってしまうこともあります。

そういう窓口は、その場でシャットアウトするといいのです。

資料請求するだけで、窓口が信頼できるかどうかをふるいにかけることができます。

ちなみに今現在、私がお世話になった窓口は、当時よりさらに対応がよくなっているかもしれません。heart-in-diamond.jp

遺骨ダイヤモンドの紹介は誰でもできる

遺骨ダイヤモンドは通販のようにお気軽に取り扱いができます。一度お願いしてみると、注文の手軽さと同時に「こういうときにこそサポートしてくれればいいのに」という体験もされると思います。たとえば、ダイヤモンドの色を選んだり、大きさを選んだり。ジュエリーのデザインを選ぶときなど。

みなさんも「ご遺骨はダイヤモンドにしたら?相談にのるよ」と、お友達に紹介できるかもしれません。

葬儀の忙しいさなか、誰のサポートもなくひとりで考えていると、苦痛になることがあります。そういうときこそ、身近な人が相談相手になってあげると、相手の方に喜ばれます。

私も夜中、お客様と長電話することがあり、そういうときこそやりがいを感じていました。ちなみに私が勤めていた当時も、「家業(墓石屋さんや宝石屋さんや海洋散骨業者さん、個人のこともありました)とコラボさせてください、お客様へ遺骨ダイヤモンド紹介したいです」という方が何人か連絡してこられていました。

クリスチャン、遺骨ダイヤモンドを紹介する

誰かのためになっていると気づくとやりがいを感じます。

遺骨ダイヤモンドはすばらしい、その人の魂が宿っている、などとはいいません。そのひとの思い出をダイヤモンドにしておくことは、少なくとも心の慰めになります。

私はたまたまクリスチャンでしたが、お別れの悲しみを少しでも和らげることができるなら、クリスチャンであろうとなかろうと、それでいいと思います。

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